観光地での消費動向が多様化傾向

食の多様性対応を支援するフードダイバーシティ株式会社の横山です。

訪日客の増加に伴い、日本各地の観光地で消費動向が多様化しています。消費単価(1人当たりの消費額)と訪問者数の関係をグラフで分析すると、地域ごとの特性が明らかになります。

まず、東京都、大阪府、京都府といった主要観光都市が目立ちます。東京都は訪問者数1063.9万人、消費単価14.8万円と圧倒的な数値を示しています。東京都は観光客にとって主要な目的地であり、宿泊やショッピング、飲食といった消費が集中するためです。大阪府も訪問者数795.8万人、消費単価9.1万円と高い数値を示しており、グルメの街として知られる大阪ならではの結果です。京都府は訪問者数598.8万人、消費単価5.2万円で、歴史的な観光資源に支えられています。

一方で、北海道は訪問者数123.2万人、消費単価12.9万円と、訪問者数は主要都市に比べて少ないものの、消費単価は高めです。これは、北海道が広範な観光地を持ち、長期間滞在する観光客が多いためです。スキーリゾートや温泉地、美しい自然景観が主な魅力であり、宿泊費やアクティビティ費用が消費の大部分を占めています。

千葉県や神奈川県は訪問者数が多いものの、消費単価は低めです。千葉県は754.3万人の訪問者数に対し、消費単価は1.8万円と非常に低いです。これは成田空港を利用するトランジット客が多く、短期間の滞在が中心であるためです。神奈川県も同様に日帰り旅行が主流であり、宿泊費が発生しないため、消費単価が低くなっています。

このように、訪日客の消費動向は地域ごとに大きく異なり、観光客の属性や観光地の特徴によって消費単価が変動します。観光業界や地方自治体は、このデータを活用して地域の魅力を最大限に引き出す戦略を立てることが重要です。具体的には、長期滞在を促進するための宿泊施設の充実やショッピングエリアの拡充、地域特産品のプロモーションなどが考えられます。これにより、観光客の消費を効果的に促進し、地域経済の活性化に繋げることが期待されます。

元データ:日本経済新聞2024年7月14日「訪日客の地方分散、決め手欠く 住民生活との両立探る」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC291R40Z20C24A6000000/

著者

横山 真也
フードダイバーシティ株式会社 共同創業者
キャリアダイバーシティ株式会社 共同創業者
ヨコヤマ・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役
日本と海外での複数の起業が評価され、16年シンガポールマレー商工会議所から起業家賞を受賞(日本人初)
NNA ASIA経済ニュースコラムニスト
著書に「おいしいダイバーシティ~美食ニッポンを開国せよ~」(ころから株式会社)
ビジネス・ブレークスルー大学経営学部および東洋大学国際学部 非常勤講師