浸透し過ぎて逆に気づかない? ベジ大国台湾の現場に迫る
皆様、こんにちは。
フードダイバーシティ株式会社の山崎です。
台湾の街中で見かける 「素」 の文字。
これは中国語でベジタリアンを意味する”素食”の略称です。
街中のレストランやコンビニで売られている商品など、至る所に素の文字が広がっています。
2018年12月に弊社が発売した
「東京食素!美味蔬食餐廳47選(東京のベジタリアンレストラン47選)」も台湾の書店で並べて頂いております。
お陰様で好評を頂いており、第2版の増刷が決まり、今年は関西版の出版も計画をしております。
ベジタリアンの本が京都・四国・岐阜などの所謂一般的なガイドブックと隣り合わせで販売されているというこの光景。
ベジタリアン比率が13%というベジ大国台湾だからこそ、見られる光景かもしれません。
台湾になぜベジタリアンが多いのか?
気になる方は「台湾ベジタリアン市場と対策について」をご覧くださいませ。
今回のコラムでは、ベジ大国 台湾の現場レポートと題しまして、以下の3点をお伝えいたします。
① ベジタリアンバイキングで発見、魔法の食材「◯◯◯◯」
② 一番人気のベジレストランはノンベジにも人気
③ 台湾人の訪日前の動き
ベジタリアンバイキングで発見、魔法の食材「◯◯◯◯」
台湾の中心地に店舗を構える「果然匯」は、ベジタリアンバイキングのお店として有名です。
提供する料理は全てベジタリアンで、お料理のポップにはベジタリアンの種類が書かれています。
含蛋/含堅果(過敏原)は「卵/ナッツ(アレルギー原)含む」という意味で、ベジタリアンの種類以外にも、アレルギーなどの情報まで細かく記載されています。
台湾にはベジタリアンを定義する法律が2012年に定められ、それを元にレストランや食品メーカーはベジタリアンのラベル付けをしています。
(少し複雑なのであくまで参考程度にご連絡ください)
全素/純素:動物性および五葷が含まれていない製品 (Veganかつ五葷フリー)
植物五辛素:動物性が含まれていないが五葷が入っている製品 (Vegan)
蛋素:卵類が含まれている製品(Ovo Vegetarian)
奶素:乳製品が含まれている製品(Lacto Vegetarian)
蛋奶素:卵類・乳製品が含まれている製品(Lacto-Ovo Vegetarian)
https://www.suiis.com/info/article/299
魔法の食材「◯◯◯◯」
バイキングの中でも列ができていたのがこちらの商品。
「猴頭菇(直訳すると猿の頭?)」という奇妙な名前ですが、日本語では「山伏茸」と言われる食材です。
「間違えて肉を食べてしまったのでは?」と思ってしまう程、食感がチキンそっくりで驚きです。
BBQソースでステーキ風にすると美味しいかもしれません。
ちなみに日本のベジタリアンレストランで山伏茸を使ったメニューはあまり見かけたことがないのでこれはチャンスかもしれません。
その他味の好みについて
こちらのラーメンですが、少し薄味で、途中で塩胡椒を追加しながら頂きました。
逆に台湾の方が日本に来た時には「塩っぱい」と言って、お水を飲みながら食べているのをよく見かけます。
一概には言えませんが、台湾の方をおもてなしをする際は塩分を控えめ、代わりに甘辛のテイストが好まれる傾向にある気がします。(あくまで参考まで)
② 一番人気のベジレストランはノンベジにも人気
稻禾は台湾で一番人気のベジタリアンレストラングループで、うどん屋、パン屋、洋食店など様々な業態を展開しています。
グループができて6年が経過。
スタート当初はお肉、魚なども扱っていたそうなのですが、2年前に社長の梁さんがヴィーガンになったのをきっかけに、お店もベジに移行したそうです。
移行といっても突然移行したのではなく、テストを繰り返し、少しずつベジ商品を増やしていき、昨年全てヴィーガン対応になったようです。
看板メニューのメロンパンやクロワッサンはヴィーガン化に時間を要したそうですが、最終的にうまくいった決め手は自家製で質の高い豆乳が完成した点です。
質の高い大豆を探し求めて最終的に辿り着いたのが北海道の大豆だそうです。
ちなみにうどんに使う水菜も台湾ではあまり良質なものが手に入らないそうで、大豆同様日本の農家さんと契約して輸入しているそうです。
余談ですが、ビジネスマッチングを目的に、バイヤー・経営者向けに日本の農家を視察するツアーを展開したらニーズがありそうだと感じました。
(地元の農産物をPR、輸出する良い機会になるかもしれませんね)
話を戻しまして、試行錯誤を繰り返してのベジタリアン対応だったため、常連さんにもほぼ気づかれていないそうです。
この「気づかせない」というのがポイントです。
お店に入っても「素食」や「Vegetarian / Vegan」という表記はあまり見かけませんでした。
どうやらこれは意図的にされているようで、台湾で「素食」という文字を全面に出しすぎると、宗教色が強くなり、87%のノンベジタリアンの人たちが敬遠してしまうケースがあるようです。
そこで稻禾では限りなくベジタリアン色を抑える努力をされていました。
その成果もあってか、客層はベジ、ノンベジが半々。
バランスの良い経営が行われていました。
店内の雰囲気はベジのコミュニティー内で情報を知ったベジタリアンと、お店の近くを歩いていて素敵な雰囲気に惹きつけられて来店するノンベジが混ざり合っている、そんな光景でした。
③ 台湾人の訪日前の動き
台北101の真横にオープンしたばかりのAtre。
最上階にはJRが運営するCafeでは東北インバウンドのプロモーションが、地下のスーパーコーナーでは九州の物産展が開催されていました。
このように台湾では至る所で日本に関連するプロモーションが行われています。
その影響もあってか、台湾はとにもかくにも日本に関して情報通です。(SNSなどでも日本に関する情報交換が活発に行われています)
いかにお得に日本にくるかも熟知しています。
訪日予定の3ヶ月前ぐらいから(へたしたらそれより前に)リサーチをスタートし、LCCでお得なチケットを入手。
日本に来た後はJR PASSで国内を安価に移動。
といった具合です。
トレンドは鉄道旅行?
書店の訪日旅行コーナーに行くと、一際目立つ鉄道旅行関連の雑誌。
台湾最大の旅行会社ライオントラベルの方ともお話をしたのですが、鉄道旅行のパッケージが売上を伸ばし始めているそうです。
台湾といえばFIT?
台湾といえばFITが多いイメージですが、団体旅行を利用するケースもあるというのが今回の発見です。
・年次が高い層
・日本に来たことがない人
・ベジタリアンなど食に禁忌のある人
こういったケースだと、「言葉通じないし不安だから旅行会社にお願いしておこう」という方が多いようです。
現に私の知人でベジタリアン専門の旅行会社をされている方が何名かいます。
素易(https://tour.suiis.com/)
阿玩(https://veganplayer.com/)
このように団体旅行のニーズもまだまだ隠れているかもしれません。
「台湾の人たちを集客したい」にお答えします
台湾のベジタリアン市場や訪日台湾人の動向についてみてきましたが、いかがでしょうか。
何か一つでもヒントになれば幸いです。
冒頭の繰り返しになりますが、台湾には13%のベジタリアンがいます。(約7人に1人の確率)
しっかりとベジタリアンの対応をすること13%だけでなく、ベジタリアンと一緒に訪日している87%のノンベジの人達の集客にも繋がります。
「台湾」「ベジタリアン」という言葉にご興味をお持ちの方は、まずはお気軽にご相談くださいませ。
info@food-diversity.co.jp