フードダイバーシティ株式会社も大会の受入環境整備を支援

2026年9月にアジア競技大会、10月にアジアパラ競技大会が愛知・名古屋で開催されるのを前に、選手や大会関係者が利用する「アスリート・プラザ ダイニングホール」が報道関係者に公開されました。提供される料理の90%をハラールとするほか、ヴィーガン・ベジタリアン料理を用意するなど、宗教や信条をはじめとする多様な食習慣に配慮される予定です。

なお、フードダイバーシティ株式会社でも両大会を見据え、愛知県内の飲食店・宿泊施設を対象に、フードダイバーシティ対応の研修を実施してきました。

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研修の様子

約370種類のメニューでアスリートを支える

今回公開された「アスリート・プラザ ダイニングホール」は、名古屋港のガーデンふ頭に整備されている選手団宿泊拠点「アスリート・プラザ」に設けられます。報道によると、同拠点では約2,000人の選手がコンテナ型の宿泊施設を利用する予定です。

大会期間中、ダイニングホールでは午前5時から翌午前1時まで、ビュッフェ形式で食事が提供されます。最大で1時間に約1,000人が利用できる体制を整えます。期間全体で用意されるメニューは約370種類。毎食約35品が並び、毎日10以上の国・地域の料理が提供される予定です。

選手にとって食事は、単に空腹を満たすものではありません。栄養面に加え、宗教、信条、食習慣、アレルギーなどに配慮しながら、安心して食べられる環境をつくることも、大会運営における重要な要素となります。

食事提供を担うのはオーストラリアの企業

食事の提供を担当するのは、オーストラリア・メルボルンに本拠を置く「Global Hospitality Group(グローバル・ホスピタリティ・グループ、以下GHG)」です。GHGは、大規模スポーツ大会や文化イベントにおけるケータリング、フードサービス、運営支援などを手掛けています。同社の日本法人は、愛知・名古屋2026大会のオフィシャルサプライヤーとして、移動型宿泊施設の選手用ダイニングホール運営を支援します。

GHG代表のピーター・ライト氏は、シドニーオリンピックやコモンウェルスゲームズ、2019年のラグビーワールドカップ日本大会など、大規模なスポーツイベントの食事提供に携わってきた経歴を持ちます。

提供する料理の90%がハラール

アジアにはイスラム教徒が多く暮らす国・地域があることから、ダイニングホールでは宗教上の食習慣にも配慮します。

GHGのピーター・ライト社長によると、提供する料理の90%がハラールとなる予定です。また、地元の「名古屋めし」も、豚由来の成分やアルコールを使用しないなど、ハラールに配慮したレシピに調整し、1日1種類提供される予定となります。

ヴィーガン・ベジタリアン料理も用意

ダイニングホールではハラールだけでなく、ヴィーガンやベジタリアンに対応した料理も用意されます。

今回公開されたメニューには、パン、ナン、カレー、チキン料理などが並んだほか、ひき肉の代わりに大豆ミートを使用した台湾ラーメンも紹介されました。

出典:CBCテレビ/TBS NEWS DIG

食べ慣れた料理で選手のコンディションを支える

ピーター・ライト社長は、母国を出た経験のない若い選手がホームシックにならないよう、それぞれの国や地域で食べ慣れた料理を再現したいとの考えを示しています。

国際大会の食事では、メニュー数の多さだけでなく、選手が安心して食べられること、宗教や信条に反する食材を誤って口にしないこと、普段に近い食事でコンディションを維持できることが求められます。

そのため、実際の運営では次のような対応が重要になります。

  • ハラール、ヴィーガン、ベジタリアンなどの提供基準
  • 使用原材料や調味料の確認
  • 調理器具、保管場所、提供レーンの管理
  • アレルゲンや動物由来原材料の表示
  • 現場スタッフへの教育
  • 選手から質問を受けた際の回答体制
  • 車いす利用者などが安全に料理を取れる導線や配置

特にアジアパラ競技大会では、料理の内容だけでなく、料理の取りやすさ、表示の見やすさ、移動しやすい通路幅など、食堂全体のアクセシビリティも重要になります。

選手用食堂だけでなく、地域全体の対応が必要

今回のダイニングホールでは、ハラール、ヴィーガン、ベジタリアンといった多様な食習慣への対応が、大会運営の基本的なインフラとして組み込まれています。

一方、大会期間中に愛知・名古屋を訪れるのは選手だけではありません。

選手の家族、メディア、観客などの多くは、選手用ダイニングホールではなく、街中の飲食店や宿泊施設を利用します。

そのため、選手用食堂の整備だけで対応が完結するわけではありません。地域の店舗が、自店では何を提供できるのか、どのような原材料や調味料を使用しているのかを整理し、必要としている人が事前に確認できる形で発信することが必要です。

選手用ダイニングホールでの対応と、街中の飲食店・宿泊施設における対応。その両方がそろうことで、アジア競技大会・アジアパラ競技大会(2026/愛知・名古屋)を「食」の面から支える地域の受入環境がつくられます。今回の大会を一時的なイベント対応で終わらせず、その後も国内外の多様な旅行者を受け入れられる地域づくりにつなげられるかが、重要なポイントとなります。

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