日本食を世界に、日本食で世界から誘致
2025年1月10日、日本政府は農林水産物や食品の輸出促進を目的とした関係閣僚会議を開催し、新たな政策の柱として「インバウンド消費の拡大」や「海外市場での販路開拓」などを掲げることを決定しました。この取り組みは、日本の食材や食品、食文化を世界に広め、「海外から稼ぐ力」を強化することを目的としています。
新たな政策の3本柱
林芳正 官房長官は、「新たな食料・農業・農村基本計画において、海外から稼ぐ力の強化を新たな柱として位置づける必要がある」と述べ、以下の3つを重点施策として掲げました。
- 海外市場の販路開拓
- 現地スーパーやレストランとの連携による日本産農林水産物や食品の輸出拡大を推進。
- 食品産業の海外展開
- 日本の食品メーカーや飲食店チェーンが海外市場で事業を拡大するための支援を強化。
- インバウンド消費の拡大
- 訪日外国人観光客を対象に、日本食や食文化の魅力を発信し、国内での消費を促進。
これらの施策を相乗的に展開することで、国内外での需要を高め、地域経済の活性化を目指します。
地域との連携とフードダイバーシティへの影響
具体策として、日本食や食文化をインバウンド市場に発信する取り組みや、農山漁村での宿泊体験を含む旅行事業が挙げられています。これにより、地方の食材や文化が注目され、地域の経済振興に繋がることが期待されています。また、これらの取り組みは、多様な食事ニーズに対応する「フードダイバーシティ」の推進とも深く関わります。ムスリム、ヴィーガン、アレルギー対応食材の普及が進むことで、より多くの外国人観光客が日本を訪れることは間違いありません。
輸出促進の現状と課題
農林水産省の発表によると、2023年1月から11月までの農林水産物や食品の輸出額は、前年同期比で1.9%増の約1兆3000億円となりました。しかし、福島第一原発の処理水放出に対する中国の反発により、日本産水産物の輸入停止措置が続き、中国向け輸出額は32%減の1500億円に留まっています。政府は輸入再開に向けた協議を引き続き進めるとしています。