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ハラールメディアジャパンの横山です。

 
これまでの三回では、訪日ムスリム客はどんな情報を探し、どんな店舗へ行っているのか。
そしてそれに対してどうアプローチするのかをご紹介しました。

 
具体例としてFacebookの活用が有効であることを挙げましたが、
今回はそこで発信されている声に注目し、訪日ムスリム客のニーズに更に迫りましょう。

 
彼らは何を求めて日本を訪れているのでしょうか。

 
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「データで読み解く訪日ムスリム客の動向」第四回
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訪日ムスリム客の「日本でやりたいことトップ10」

図1

まずご紹介するデータは「訪日ムスリム客が日本でやりたいことトップ10」です。

 
これはハラールメディアジャパンが運営するFacebookグループでのアンケート結果で
有効投票数2633からのランキングです。

 
同グループは在日と訪日を予定しているムスリムで構成されており
43,000人超のメンバーが参加している日本好きのムスリムグループです。

 
ランキングトップは「モスクを訪問したい」

 
これは多くの日本人にはない感覚ですが
旅先でも礼拝を重視するムスリムにとっては当然の結果かもしれません。

 
イスラーム教では旅は神の創造を見る機会であり
旅することを奨励しているとされる一節が教典クアルーンに記されています。

 
旅先でモスクを訪問することはムスリムにとって非常に重要なイベントで、
実際「日本の美しいモスクを訪問したい」という声が少なくありません。

 
あまり知られていませんが、日本には35都道府県に98のモスクがあり
(ハラールメディアジャパン調べ)、近年増加傾向にあります。

 
その多くは質素な建物ですが、地元のムスリムコミュニティとの交流は
訪日ムスリムにとって貴重な機会となっているようです。

 
モノ消費よりコト消費、絵になるシーンを求めている

 
ランキングを俯瞰して見えてくるのはモノ消費よりもコト消費のニーズです。

 
何かを買って帰るというよりも日本でしかできないことを体験し、
そのシーンを写真に撮ってSNSに投稿したいというニーズが垣間見えます。

 
つまり、自国では得られない絵になるシーンを求めているのです。

 
これは多くの外国人旅行者がそうであるように
昨今は買い物目的の訪日ではなく異文化体験を目的とする訪日旅行が増えており、
特にリピート客の増加が大きく影響していると言われています。

 
観光庁の発表*によると
訪日観光客のリピート率は全世界で53.6%、東南アジアで46.2%、マレーシアで42.0%と、
概ね半数が日本は初めてではないという状況に至っていることからもそれが裏付けられています。

 
では、どうすればコト消費需要を取り込めるのでしょうか。

 
What if(もしこうしたら)の視点から、新しい「ならでは」を生み出せ

 
日本は観光立国として必要な四要素を兼ね備えていると言われています。
四要素とは自然、気候、文化、食事です。

 
南北に長い日本列島は四季を通じて様々な伝統行事が行われている
いつ行っても魅力的な旅行先なのです。

 
従ってこれら四要素を活かすことで、
さらに各地で独自の新しい「ならでは」を創り出せるはずです。

 
それには今回のランキング結果と共に
以前本コラムで指摘した「食べたかったのね」を参考にされるとよいでしょう。
http://goo.gl/xRmd9e

 
これまで食べたくても食べられなかったものをハラール化することで、
地元の名物料理やイベントへも応用できるからです。

 
例えば北海道やしまなみ街道でのサイクリング、沖縄でのダイビング、
北陸や信州でのスキーなどは今では訪日観光客に大人気となっていますが、
ムスリム対応はまだ不十分です。

 
こうした「したくてもできない」アクティビティに
「What if(もしこうしたら)」の視点を加えてみましょう。

 
逆に既にムスリム対応で先行している例として
岩手のわんこそば、奈良の寿司づくり学校、千葉のビューティー体験、
東京浅草の着付け体験などがあります。

 
いずれもここ数年で始まったムスリム対応で
もともと地元にあったサービスをムスリム対応させただけというシンプルな内容ですが、
ランキングにも出てくるほどの人気イベントになっています。

 
地方都市の中には「直行便がないから訪日観光客が来ない」と嘆かれる方が少なくありません。
そうであれば逆に、なかなか行けない希少性をPRしましょう。

 
「今だけ、ここだけ、あなただけ」という希少性は
いつの時代も価値あるセールスポイントです。

 
「What if」の視点によるハラール化は
日本の観光資源に新しい「ならでは」を生み出すきっかけとなるでしょう。
 

* 観光庁「2015年訪日外国人消費動向調査」

 
(注)このコラムはThe Daily NNAシンガポール&アセアン版(2016年5月31日)にて
「ハラールという戦略上の選択肢・第四回」として掲載された内容を再構成したものです。

 

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https://goo.gl/7OuCXI

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