Global Muslim Travel Index 2025が発表

2025年版の「マスターカード・クレセントレーティング・グローバルムスリムトラベルインデックス(GMTI)」が発表されました。今年は対象国が153に拡大され、旅行者の多様なニーズを反映する評価基準もさらに進化しました。

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GLOBAL MUSLIM TRAVEL INDEX 2025

昨年導入されたRIDAフレームワーク(責任・没入・デジタル・安心)に加え、今年は「アクセシブル」への配慮も評価項目に加わり、信仰・年齢・神経多様性を含む包括的な観光体験の提供が求められるようになっています。

インデックスでは、従来からの食事や礼拝環境の整備に加え、持続可能性や教育的価値を重視した「目的を伴う旅」への関心の高まりが顕著です。ムスリム旅行者にとって、旅は単なる消費行動ではなく、学びや共感の機会へと変化しています。加えて、旅行者の利便性と安心感を高めるデジタル技術の活用も、評価に大きく影響しています。

一方、日本の順位は非OIC(イスラム協力機構)加盟国の中で14位となり、昨年からさらに6つ順位を下げました。これは2014年の23位以来の低さであり、過去最高だった2019年の3位から大きく後退した形です。日本も一定の改善は見られましたが、シンガポール(1位)、イギリス(2位)、香港、タイ(5位)、アイルランド(6位)などが大幅にスコアを伸ばしたため、相対的に順位を下げる結果となりました。特に香港は前年比10ポイントのスコア向上で3位にランクインし、注目を集めました。

GMTIは、毎年開催される「Halal in Travel Global Summit」において発表されます。今年は台湾やスペインをはじめ、マレーシア、シンガポール、香港、パキスタン、フィリピン、スイスなどから政府要人が出席し、「ムスリム旅行市場はもはやニッチではなく、メインストリームである」との認識を共有。各国が積極的に自国への誘客を図る姿勢が際立っていました。

以前も報じたとおり、日本はムスリム旅行市場から一定の注目を集めているものの、国際的な情報発信やロビー活動の面では他国に遅れをとっているのが現状です。国内での努力は続けられているものの、世界的なスピード感に追いつくためには、国際基準への対応とあわせて、サミットや業界イベントにおける日本の存在感を高めることが急務です。

会場の様子

フードダイバーシティ株式会社からは守護と横山が参加