一歩進んでいる地域は丸投げしない

食の多様性対応を支援するフードダイバーシティ株式会社の横山です。

食の多様性対応で一歩先を行く地域では、着実に次のステップへと進んでいます。初級編の取り組みで訪日客の基礎的なニーズに応えた実績を活かし、より高度な対応を目指しています。

具体的には、中級編のセミナーと試食会を開催しています。このセミナーでは、初級編を通じて獲得した訪日客や地元客からのフィードバックを、事業者間でシェアする機会を設けています。一方的な提供ではなく、実際の来店者の声に耳を傾けることで、サービスのブラッシュアップにつなげています。

また、多様な価値観を持つ来店者とどう効果的にコミュニケーションを取るかについても、専門家から具体的なスキルを学んでいます。言葉の壁を越えて、お客様一人ひとりの心に寄り添う接客術を身につけることが重視されています。

さらに、そうした取り組みを如何にPRし、新たな客層を呼び込むかといった情報発信の手法についても、研修が行われています。ソーシャルメディアの活用から口コミ誘発、ターゲティング広告など、最新のデジタルマーケティング手法の活用が進んでいます。

こうした先進的な取り組みを主導しているのは、地域に根ざした中心的な人物の存在が大きな鍵となっています。地元出身に限らず、その地域に深い愛着を持ち、熱心に地域振興に取り組む人材が牽引役となっています。そうした人物は、地域の将来に対する危機感と可能性の両方を持ち合わせており、献身的な姿勢で地域を動かしています。

また、地方公共団体の職員も、前例踏襲に捉われることなく柔軟な発想と行動力を発揮しています。民間事業者への丸投げではなく、積極的に関与し、官民が車の両輪となって地域の取り組みを後押ししているのです。

このように、リーダーシップと行動力のある人材が存在することが、地方創生の原動力となり、その具体例の一つとして食の多様性対応を進めています。一歩先を行っているのは、訪日客のためにスピーディで柔軟に対応しているからです。

著者

横山 真也
フードダイバーシティ株式会社 共同創業者
キャリアダイバーシティ株式会社 共同創業者
ヨコヤマ・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役
日本と海外での複数の起業が評価され、16年シンガポールマレー商工会議所から起業家賞を受賞(日本人初)
NNA ASIA経済ニュースコラムニスト
著書に「おいしいダイバーシティ~美食ニッポンを開国せよ~」(ころから株式会社)
ビジネス・ブレークスルー大学経営学部および東洋大学国際学部 非常勤講師