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バンクーバー、北京、フランスを渡り歩いた料理人
大使、総領事が公邸で客人をもてなす際、料理の腕を振るう”味の外交官”こと「公邸料理人」。公邸で各国の有力者らを招待して会食を行うことは、最も有効な外交手段の一つとされています。
今回は元公邸料理人、現出張料理人の工藤英良さんの「ヴィーガンコース」を取材してきました。
工藤 英良(くどう えいりょう)さん
「味の外交官」公邸料理人として10年にわたり、カナダ、中国、フランス3ヶ国において外交活動を食の面からサポート。 世界各国の賓客に和食を提供し、公邸におけるおもてなしに尽力。現在は出張料理人として世界中から依頼を受け、料理を提供している。また、メニュー監修等の店舗プロデュースや、日本料理講師として講習会や講演会などを通し『和食の知られざる魅力』、『世界から見たニッポンの食』、『公邸料理人の経験談』等のテーマを幅広い層へ伝える活動を行なっている。直近では、各方面からの依頼に応じてオンライン料理教室の講師としても活動中。
元公邸料理人のヴィーガンフルコース
こちらが今回のお品書き。全部で9品のフルコースです。
全品9種
-甘夏みかんを器に見立てて からし菜と山椒風味おこげのサラダ フルーツトマト
-寒干し大根と新じゃがの豆乳バターソテー タイムの香り
-小松菜と油揚げの精進出汁煮浸し
-ベジ若竹椀 花山椒
-春野菜の米粉天ぷら(ウド、たらの芽、よもぎ、葉玉ねぎ、そら豆、菊芋)
-大豆ミートのロールキャベツ ごま風味の白味噌ソース 柚子胡椒
-飛騨みつわ農園こしひかり塩むすび 飛騨赤かぶ
-精進出汁 すまし汁
-豆乳寒天寄せ 焼き苺とメープルシロップ
味のベースは精進出汁、ヴィーガン対応に欠かせないのは「油分と香り」
特別に精進出汁の具材を見せて頂きました。玉ねぎ、ニンジン、生姜、昆布、椎茸等、複数の旬野菜が使われていました。
工藤さん曰く、ここ数年で海外でもUmami(旨味)の認知が急速に広がってきているとのこと。
「フランスではスーシェフ(副料理長)が日本人というお店が増えてきました。スーシェフになるとメニューを決める権限が与えられ、ここ数年で日本人シェフのメニューが増えてきました。また、フランスには各国のシェフが学びにきてるため、彼らが帰国後、フランスで学んだUmami(旨味)文化を自国で広めているようです。こうした背景もあり、世界でUmami(旨味)文化の認知が上がってきているのだと思います。」
また、工藤さんはヴィーガン対応のポイントを次のように語ります。
「ポイントは「油分と香り」です。こちらの寒干し大根と新じゃがには豆乳バターやタイムを使用し、油分と香りを加えてコクを出しています。ロールキャベツも豆乳バターやニンニクでコクを出し、塩麹や白味噌、胡麻で味を整えています。」
ちなみにロールキャベツの中の具材には精進出汁で戻した大豆ミート、蓮根、長芋が使用されていました。
シメは世界から注目を集める「おにぎり」
「おむすび権米衛」がパリに出店するなど、海外ではにわかに「おにぎり」ブームが起こりつつあるようで、今回のシメのメニューは「塩むすび(みつわ農園こしひかり使用)」でした。みつわ農園の田んぼは、風当たりの違いなどを察知し、数メートル毎に区画を整理。様々な用途毎に生産区画を分けているそうなのですが、今回はおにぎりにマッチするお米で提供頂きました。同席したインタビュアーが3度もおかわりしてしまう程の美味しさでした。
「海外に行くと日本アニメの影響力の強さを感じます。”孫悟空が食べている「おにぎり」を食べたい!”という要望を頂いたこともありますから(笑)」と工藤さんは語ります。
元公邸料理人がつくる和食の世界を御自宅で。
工藤さんは現在出張料理人として活動しています。元公邸料理人の味を自宅で楽しむことができるそうです。今回はヴィーガンコースを取材しましたが、様々な要望に対応可能とのことですので、ご興味のある方はホームページをご参照ください。
価格
御料理代金 ¥22.000(税込)
※出張料理は別途出張費(都内は¥10.000。都外は別途相談)。
予約
7日前予約
※ウェブサイトのお問い合わせページから
https://www.eiryo-kudo-chef.com/private-chef