多様な食文化を通じて“食のあり方”を考える
2025年11月6日、慶應義塾大学日吉キャンパスにて、協生環境推進ウィークの一環として「食のSDGs」をテーマにしたスペシャルトークイベントが開催されました。
講師として、浅田屋伊兵衛商店株式会社の代表取締役浅田松太氏と、フードダイバーシティ株式会社の代表取締役守護彰浩が登壇。進行はすき焼き「ちんや」六代目・住吉史彦氏が務め、食を通じた価値観の多様性について議論が行われました。
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【食に興味がある人必見👀】
11月6日木曜日に食に関する協生環境推進ウィークの一環として「料理教室」食のSDGsスペシャルトークイベントが開催されます🍭🍫
「食の価値観の多様さに触れる」をテーマに、「ビーガン向け和食」を主題にお話しいただきます🌾
興味のある人はチェック✅ pic.twitter.com/UNBYmyTco2— Crich 慶應 (@crich_keio) November 1, 2025
世界から見た「日本の食」の評価と可能性
守護からはまず、世界各国で日本食がどのように受け止められているかが紹介されました。味や素材、伝統技術、知名度など、多方面で高い評価を受けている一方で、宗教や文化的な理由から“食べられない”人が少なくない現状にも触れました。
課題ではなく、伸び代と捉えるべき
また、肉・魚・アルコールなど、宗教上や文化上の理由で避けられる食材への配慮が進むことで、日本食の魅力はさらに世界へ向けて広がると説明しました。ただし、それに向けて何か新しいことをやるというわけではなく、和食の伝統的な出汁文化は、植物性の素材でも十分に深い味わいを生み出すことができると述べ、「伝統の中にこそ、ダイバーシティ対応のヒントがある」と強調。日本の食が持つ大きな“可能性”を示しました。

「世界の食ルール」を知ることが第一歩
続いて、世界における多様な食のルールや背景について、具体的な事例を交えて説明しました。イスラム教のハラール、ユダヤ教のコーシャなどの宗教的ルールはもちろん、環境配慮やアレルギーといった新しい要素も含めて、「“なぜ食べないのか”を知ることが、相互理解のための出発点になる」と語りました。
「日本では“食べない=好き嫌い”と捉えられがちですが、世界では“生き方や信仰の一部”であることが多い。この「世界の食ルール」を理解する姿勢こそが、これからの国際社会における信頼構築に不可欠だと強調しました。
ダイバーシティ対応とは“特別扱い”ではなく“共通点を見つけること”
最後に「ダイバーシティ対応の考え方」に話題が移りました。守護は、企業や自治体が多様な食文化に配慮する動きが広がる一方で、「特定の人のための特別対応」と捉えられてしまうケースがあると指摘しました。
「本来のダイバーシティ対応とは、“違い”を強調することではなく、その中から“共通点”を見つけていくことです」と述べ、食はその“共通点”を見つけやすい領域であると説明しました。さらに、「誰かが食べられない料理を避ける」のではなく、「みんなが一緒に食べられる料理を考える」という発想への転換が求められていると呼びかけました。
