考えたい言葉選びについて
フードダイバーシティ対応が日本全国で広がる中で、飲食店や食品メーカーは「食のルールに対応していること」や「健康的な特徴」を伝える機会が増えています。
しかし、良かれと思って表記したその言葉が一般消費者に“美味しくなさそう”という先入観を与えてしまい、手に取ってもらえない原因になることが多々あります。

美味しさよりも制限を想像させる言葉
以下の言葉は、事実を正しく伝えている一方で、一般消費者の中にはネガティブな印象を持つ人も少なくありません。
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ヴィーガン
動物性食品を使っていないことを示す重要な言葉ですが、一部の消費者には「味気ない」「制限が多い」というイメージが残っています。 -
ヘルシー
健康的という意味ですが、「薄味」「満足感がない」という連想をする人も。 -
代替
「本物ではない」という印象を与えやすく、期待値が下がる場合があります。 -
大豆ミート
名前から豆の風味や独特の食感を想像して敬遠されることも。 -
●●不使用/●●フリー/●●オフ
情報提供としては必要な側面もありますが、「物足りないのでは?」という印象を与えがちです。 -
精進
伝統的で価値のある言葉ですが、「質素」「淡白」と捉えられる場合があります。 -
減塩
健康には良いですが、「味が薄い」と結びつきやすい言葉です。
言い換えの工夫で印象は変わる
実際に、以下のように言葉を変えるだけで、お客様の興味を引きやすくなります。
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「グルテンフリーパン」 → 「米粉でふんわり焼き上げたパン」
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「糖質オフパスタ」 → 「野菜の旨みを活かした軽やかパスタ」
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「低脂肪ヨーグルト」 → 「すっきり爽やか仕立てのヨーグルト」
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「無添加スープ」 → 「素材の味を引き出したやさしいスープ」
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「ヴィーガンチーズケーキ」 → 「ココナッツと豆乳で作った濃厚チーズケーキ風」
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「動物性原料不使用シチュー」 → 「野菜と豆乳でコクを出したクリームシチュー」
まとめ
言葉は料理や商品の第一印象を決める大切な要素です。健康志向や制限食対応を正しく伝えつつも、「美味しそう」と感じてもらえる表現を工夫することで、より多くの人に手に取ってもらえる可能性が高まります。
“制限”ではなく“魅力”を伝える視点こそ、これからのフードダイバーシティ対応には欠かせません。