衣・天つゆを工夫してお客様の幅を広げる
天ぷらは海外からの訪日客にとって「和食の代表格」と言える料理の一つです。
日本には天ぷら専門店という業態があり、職人が目の前で調理し、揚げたてを提供するライブ感は訪日客から非常に人気です。また、一般的な和食が口に合わない訪日客でも、天ぷらなら「美味しく食べられた」と感じるケースも多く、味に関しても定評があります。
この天ぷら専門店は少しの工夫で、ヴィーガン対応が簡単にできます。

そもそも天ぷらは野菜が中心
天ぷらはもともと野菜だけでも十分に構成できる料理といえます。日本は以下を代表に美味しい野菜が種類豊富にあります。また、天ぷらは一般的に五葷(ねぎ、にんにく、にら、らっきょ、あさつき)も使用しないため、台湾に多いオリエンタルベジタリアンとの相性も抜群です。
かぼちゃ
なす
れんこん
ししとう
さつまいも
まいたけ
しいたけ
ピーマン
ごぼう
オクラ
しめじ
エリンギ
アスパラガス
ズッキーニ
にんじん
みょうが
ふきのとう
とうもろこし
かぶ
にんじん
衣に含まれる卵に注意(卵アレルギー対策にも)
一般的なレシピや業務用天ぷら粉には、卵が混ざっている場合がありますので、ヴィーガン対応としてはNGとなります。代わりに以下の工夫で十分な品質が出せます。
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小麦粉+片栗粉+冷水
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米粉+炭酸水(さっくり軽やかに仕上がります)
卵を使わない衣は、卵アレルギーの方への対応にもつながります。
天つゆも見直しを。塩での提供もおすすめ
多くの天つゆには魚介出汁が含まれています。ヴィーガン対応を行う場合は、昆布や干し椎茸でとった植物性の出汁に変えるか、抹茶塩や柚子塩などの塩スタイルでの提供がシンプルかつ効果的です。
「つゆ or 塩」の選択肢を提示すること自体が安心材料になります。
米粉衣で付加価値UP
米粉に切り替えることでグルテンフリー対応が可能になります。米粉は小麦に比べて油の吸収が少なく、カラッと軽い仕上がりになるので「ヘルシー志向のお客様」「小麦を気にするお客様」にも響くポイントです。
※ただし、グルテンフリーを謳う際にはコンタミネーションなどの情報喚起必須
“日本産米粉を使用”といったストーリー性を加えれば、さらなる付加価値が生まれます。
地野菜を堪能する天ぷらコースは、ベジタリアン・ヴィーガンでないお客様にも魅力
ヴィーガン対応という枠を越えて、地元の旬野菜を中心に構成したコース料理は、一般の方にも好まれます。「地域の野菜を楽しみたい観光客」など、幅広い層へのアプローチになります。
ネーミング例:加賀野菜 絢爛天ぷらコース
ほんの少しの工夫が、お客様の幅を広げる
衣とつゆを一工夫するだけで、ヴィーガン、アレルギー、グルテンフリーといった多様な食のニーズに対応できるのが天ぷらの強み。それでいて「和の食文化としての魅力」は損なわれず、むしろ“選ばれる店”としての価値が高まります。
また卵不使用の衣や魚介を使わない天つゆをイレギュラー対応にするのも一つの方法ですが、味の研究を重ねてレギュラー対応にするのもまた一つの選択肢です。そうなればオペレーションはぐっと楽になり、負荷をかけることなく、より多くの方に安心して楽しんでいただける環境を整えることが可能です。