違いより「共通点」に気づく力を育てる
「フードダイバーシティってなぁに?」と子どもから聞かれる時代が来ています。
例えば…
「牛肉を食べない」人もいます
「動物性の食べ物は一切食べない」人もいます。
「小麦やナッツが食べられない」人もいます。
フードダイバーシティ(食の多様性)とは、人によって食べられるもの・食べないものが違うことを知り、それぞれを認め合い、そして様々な背景があっても同じ食卓を囲んでみんなで笑顔になれる状態を目指したアプローチです。
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なぜ今、家庭でフードダイバーシティを教えるの?
子どもたちは既に今も、そしてこれからも国際化・多様化した社会の中で暮らしていくことになります。その中で、保育園や学校、地域のイベントでも、「食」の違いに触れる機会がどんどん増えています。
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「○○くんは給食の牛乳を飲まないんだって」
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「△△ちゃんはカレーにお肉が入っていないよ」
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「このパン、小麦じゃないんだね」
こうした気づきを「不思議」「かわいそう」ではなく、「それには理由があるんだよ」「でも一緒に食べられるものもあるよ」と優しく教えられる家庭環境が、子どもの思いやりを育てます。
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フードダイバーシティを体系的に学ぶ本「おいしいダイバーシティ」
食べられないものより「一緒に食べられるもの」を見つける
食の多様性に触れると、「あれはダメ」「これは食べられない」という違いばかりに目がいきがちです。しかしながら教育上で重要になるのは、「一緒に食べられるもの」を考えることです。
例:
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卵アレルギーの子とプリンではなくフルーツゼリーを一緒に食べる
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イスラム教徒の子とポークカレーではなくチキンカレーを一緒に食べる
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ベジタリアンの子とベーコンのペペロンチーノではなくきのこのペペロンチーノを食べる
共に楽しめる工夫を見つけることは、もっと素敵な学びになります。
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なぜ「共通点」に目を向けることが大切なのか
子どもたちにとって、幼少期は特に「違い」が気になりやすく、どうしても比べたくなってしまうものです。しかしながら子どもに伝えたいのは、「違っていても、共通するものもある」という視点です。
違いを受け入れたうえで、「わたしたち、こんなところは同じだね」と気づくこと。それが、やさしさと共感力を育てる第一歩です。
フードダイバーシティを教える上で気をつけたいこと
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「正しい&間違っている・こうあるべき・こうでなくてはいけない」という軸でジャッジしないこと
→ それぞれの背景にはそれぞれの理由があることを伝えましょう。 -
「かわいそう」「へんなの」と言わせないこと
→ 子どもが言ってしまった場合はやさしく言葉を変えるヒントをあげましょう。 -
親も完璧である必要はありません
→「知らなかったね」「一緒に調べてみよう」と一緒に学ぶ姿勢を見せることで、子どもも自然に受け入れていきます。

大きくなったときに世界史で有利になる
実は、子どものうちからフードダイバーシティを意識しておくと、社会科や世界史にも強くなります。
例えば…
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インドではなぜ牛を食べない? → ヒンドゥー教の考え方
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ラマダンって何? → イスラム教の断食と食文化
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ヨーロッパでワインやチーズが発展したのはなぜ? → 気候・宗教・経済の歴史
「食」はその国の文化と深くつながっているからこそ、知識が“生きた理解”として身につくのです。
違っても、つながれる。「食」はその入り口
食べるものが違っても、「食べたい」「おいしいと感じたい」「誰かと分かち合いたい」という気持ちは、世界中で共通です。
フードダイバーシティを通じて子どもに伝えたいのは、「違い」を受け止めて、「同じ気持ち」でつながれるという温かい体験。家庭の食卓でそれができれば、子どもは将来、国籍や文化を超えて人とつながる力を持てるようになります。
おわりに:同じ空の下で、みんなごはんを食べている
どこに住んでいても、どんな考え方でも、食事はだれかとつながるきっかけになります。家庭での小さな会話や食卓体験が、子どもたちの「共感する心」を育てます。
違いを知り、共通点探しを楽しむ食育を、今日からぜひはじめてみてはいかがでしょうか。
