「NO」の裏側にある、最大の成長チャンス
ヴィーガン、ハラール、グルテンフリーなど、食の多様性に対応する動きが進む中で、現場導入の最大の壁となるのが「料理長の反対」。これは、多くの飲食企業やホテルが直面する共通課題です。
一見ネガティブに見えるこの状況。しかし実は、この“反対”こそが、企業にとって大きな成長機会になると、私たちフードダイバーシティ株式会社は考えます。

料理長は経営者に「NO」が言える唯一の存在
フードビジネスの現場において、料理長は味・品質・オペレーションの全責任を持つキーパーソンです。仕入れから提供までを統括し、ブランド価値を担保する立場にあるからこそ、経営層であっても簡単に意見を通すことはできません。
つまり、料理長の賛同を得られるかどうかが、フードダイバーシティ対応の成否を分ける分岐点になります。
料理長の本音として
多くの料理長が、以下のような懸念を抱えています。
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アレルギー以外の対応は「わがまま」ではないか
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「要望があればできる限り対応している」ので新たな対策は不要ではないか
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対応したとしても残されることが多いので、やる意味がないのではないか
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調味料や食材の制限で、料理の質が下がるのではないか
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現状の業務に加え、新しい対応をするのは負担が大きいのではないか
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お客様が「野菜だけでいい」と言っているなら、それで十分ではないか
これらは決してネガティブな意見ではなく、料理のクオリティや現場のオペレーションに責任を持つ料理長だからこそ出てくる“真剣な意見”です。
そもそも多くの料理長は、料理学校でも、これまでのキャリアの中でも、アレルギー対応については学ぶ機会があっても、ヴィーガン、ハラール、グルテンフリーといったフードダイバーシティについて教わる機会はありませんでした。
だからこそ、「初めて聞いた価値観」や「経験のない調理条件」に対して疑問や抵抗を感じるのは、ある意味当然なのです。
反対されるのは“当たり前”だからこそチャンス
料理長の反対は、どの現場でもほぼ確実に起こります。だからこそ、その反対を乗り越えたお店は他と差別化できるのです。
料理長にとっても、フードダイバーシティ対応は料理人としての成長の機会です。制限のある中で“美味しい料理”を追求することは、むしろ料理の引き出しを増やし、業界内でも評価されるポイントになります。
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対応のコツ:「共通点」を見つけることから始めよう
フードダイバーシティ株式会社では、数多くの料理長と伴走しながら対応を支援してきました。そこで一貫してお伝えしているのが、
「違い」ではなく「共通点」に目を向ける
というアプローチです。
ヴィーガン、ハラール、グルテンフリーと聞くとバラバラな対応に思えますが、実は共通する食材や調理法が多くあります。
この“共通点の整理”ができれば、オペレーション負担は一気に軽減され、現場の不安も解消に向かいます。

対応した料理長の声 〜実践して初めてわかったこと〜
実際にフードダイバーシティ対応に取り組んだ料理長からは、以下のような前向きな声が多く聞かれます。
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「しんどいのは最初だけだった」
導入前は不安が大きかったが、一度取り組みの型ができると、あとは応用で進めることができた。 -
「いざやってみたら、思っていたよりも簡単だった」
頭で考えていたよりも、実務レベルではそれほど負担にならなかった。 -
「食材や調味料の調達が難しいと思っていたが、既存の問屋や近くのスーパーで十分に揃った」
特別なルートを用意する必要はなく、身近な調達で十分対応できた。 -
「しっかり学ぶことで、なぜこれまで対応メニューが残されるのかも理解できた」
“Can Eat”ではなく“Want to Eat”にする必要性が腹落ちし、レシピや見せ方の工夫にもつながった。 -
「料理の幅が広がった&料理の技術が上がった」
新しい制限を通じて、今まで使わなかった素材や技法に触れ、発想が豊かになった。 -
「お客様に『対応してくれてありがとう』と言われ、やってよかったと思った」
直接の声がモチベーションになり、スタッフの意識も変わった。
重要なのは、“どうやるか”。
私たちフードダイバーシティ株式会社は、現場に合わせた無理のない導入方法を設計し、料理長としっかり対話しながら一歩ずつ進めています。
まとめ:料理長の反対から始まる、企業としての成長機会
フードダイバーシティ対応を考えるとき、壁となるのは料理長の反対かもしれません。しかしそれは決して“壁”ではなく、企業としての成長機会の“扉”です。
料理長が本分野を学び、理解し、前向きに取り組んでくれたとき、その取り組みは単なる「対応」ではなく、会社としての強みに変わります。
私たちフードダイバーシティ株式会社は、これまで多くの料理長の皆さまと対話を重ね、現場の課題に寄り添いながら、本分野を一緒に進めてまいりました。初めは戸惑いやご不安の声もありましたが、「やってみたら思ったより簡単だった」「お客様の笑顔が見られて嬉しい」といった前向きな変化を数多く目にしてきました。
対応のカギは、「やり方」にあります。私たちは、その“やり方”を現場の状況に合わせて一緒に考えて、無理なく取り組める形にしていくお手伝いをしています。是非とも一緒に進めていきましょう。