ハラールにおけるアルコールの考え方とは

「アルコールが含まれる食品は、すべてハラールではない」。そう考えている方もいらっしゃるかもしれません。

以下の画像は、2026年のMIHAS会場に掲示されていた、マレーシア・イスラム開発局(JAKIM)によるハラール製品中のアルコールに関する解説です。

判断の内容は、マレーシア政府の公式サイトにも掲載されています。連邦直轄領ムフティ局の解説ページでは、2011年の決定として、清涼飲料の「1%未満」、香料・着色料を使った最終製品の「0.5%以下」などの条件が紹介されています。

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MIHASにて撮影

基準となる4つの判断

掲示物は、食品・飲料中のアルコールについて、主に次の4点を示しています。

対象 示された判断
酒類を造る目的ではなく製造された清涼飲料 アルコール含有量が1%未満(容量比)なら飲用可能
酒類と同じ目的・工程で造られた飲料 アルコールが少量でも飲用不可
果物・穀物などに自然に含まれるアルコールや、食品・飲料の製造過程で副次的に生じたアルコール 不浄とはみなさず、摂取可能
アルコールを安定剤として含む香料・着色料を加えた食品・飲料 酒類製造由来のアルコールではなく、最終製品中の含有量が0.5%以下なら摂取可能

注意点

注意すべきは1%や0.5%が、すべての食品に共通する許容値ではないという点です。それぞれ対象と条件が異なります。酒類と同じ目的・工程で製造された飲料については、アルコールが少量だから飲める、という判断にもなりません。

日本の食品事業者が直面する課題

この考え方を実務に生かすには、まず原材料の由来を把握することが課題になります。たとえば、香料にアルコールが使われている場合でも、食品の原材料表示だけでは、その由来や製造方法まで分からないことがあります。必要に応じて、原材料メーカーへの確認が求められます。

また、原料中の濃度と最終製品中の濃度を混同しないことも重要です。掲示物が香料・着色料について示している0.5%以下という条件は、最終製品中のアルコール含有量に関するものです。香料そのものの数値だけを見て、完成した食品の状態を判断することはできません。

さらに、今回紹介したのはマレーシアにおける判断です。この掲示物や解説ページだけで、特定の商品がJAKIMのハラール認証を取得できると結論づけることはできません。認証を目指す場合には、対象商品に適用される現行の認証要件を別途確認する必要があります。

「アルコールの有無」から一歩進んだ確認を

飲食店や食品メーカーが確認すべきことは、「アルコールが入っているか」だけではありません。どの原料に、何の目的で使われたのか。酒類製造に由来するのか。最終製品について何が確認できているのか。これらを整理して初めて、お客様に具体的な説明ができます。

分からない項目があれば、分からないことを明確に伝える。マレーシアの公的機関が示す判断は、数値だけを抜き出すためではなく、食品の由来と製造工程まで確認する大切さを考える手がかりになります。

出典:マレーシア連邦直轄領ムフティ局「アルコールを20%含む食品着色料の判断」(2019年公開。2011年の決定を掲載)