AIで飲食店を探す人が急増

これまで訪日外国人旅行者が飲食店を探す際は、Google検索やGoogle Maps、SNS、旅行サイト、ハラールやヴィーガンの専門サイトなどを利用するのが一般的でした。しかし近年では、ChatGPTやGeminiなどの生成AIに「近くのハラールレストランは?」「おすすめのヴィーガンレストランは?」と自然な文章で質問し、おすすめの店舗を探すという新しい検索スタイルが広がりつつあります。今後、このようなAIを活用した店舗検索は、訪日外国人旅行者の情報収集手段の一つとして、さらに利用が拡大していくと考えられます。

一方、AI検索では従来の検索エンジンとは異なり、検索結果の一覧が表示されるのではなく、AIが条件に合うと判断した数店舗を候補として提示するケースが多く見られます。そのため、AIの回答に含まれるかどうかが、旅行者に認知される大きな要素の一つになりつつあります。

Web全体で正確かつ一貫した情報を発信することが重要

Google Mapsで高い評価を得ている店舗が、必ずしもAIの回答で紹介されるとは限りません。一方で、Google Mapsではそれほど目立たない店舗が、AIの回答に含まれるケースも見られます。

つまり、Google Mapsの対策だけでAIにも評価されるとは限らないということです。

現時点でChatGPTやGeminiなどの生成AIは、店舗を推薦する具体的なアルゴリズムを公開していません。そのため、「これをすれば必ずAIに表示される」という方法も明らかになっていません。

一方で、各社が公開している情報からは、生成AIはGoogleビジネスプロフィールだけでなく、店舗の公式ホームページやメニュー情報、営業時間、口コミ、写真、SNS、ニュース記事など、インターネット上のさまざまな情報を参照しながら回答を生成していることが分かっています。

そのため、Google Mapsだけを整備するのではなく、Web全体で正確かつ一貫した情報を発信することが重要です。

例えば、

  • Googleビジネスプロフィール
  • 店舗の公式ホームページ
  • SNS
  • 第三者メディアでの掲載情報(Food Diversity.todayの役割)

などの内容に違いがなく、最新の状態で公開されているほど、AIが店舗情報を理解しやすい環境を整えられる可能性があります。また、Googleも、店舗情報を検索エンジンやAIが理解しやすくするために、LocalBusiness構造化データなどの活用を推奨しています。

ヴィーガン・ハラール・グルテンフリーなどの対応店は特に影響が大きい

ヴィーガン、ハラール、グルテンフリーなどの食の多様性に対応する店舗は、一般的な飲食店以上にAI検索の影響を受ける可能性があります。

その理由は、こうした食事制限や食習慣を持つ旅行者は、「近くのレストラン」ではなく、「ハラール対応のレストラン」「ヴィーガン対応の朝食」「グルテンフリーのラーメン」といったように、条件を指定して検索するケースが多いためです。

AIは、その質問に対して条件に合う店舗を限られた数だけ提示することが多くあります。そのため、AIの回答に含まれるかどうかが、旅行者に店舗を認知してもらう重要なきっかけの一つになる可能性があります。

一方で、実際には対応していても、ホームページやGoogleビジネスプロフィールに対応内容が詳しく掲載されていなかったり、英語で情報発信されていなかったりすると、AIがその情報を十分に把握できない可能性があります。

AIに選ばれるために必要なこと

生成AIの推薦アルゴリズムは公開されていないため、「これをすれば必ずAIに表示される」という方法はありません。しかし、AIはインターネット上のさまざまな情報をもとに回答を生成していることから、店舗情報を充実させ、複数の媒体で一貫した情報を発信することが重要だと考えられます。

① Googleビジネスプロフィールを常に最新の状態にする

Googleビジネスプロフィールは、多くの旅行者が最初に目にする店舗情報です。営業時間や定休日が古いままになっていたり、料理写真が少なかったりすると、旅行者だけでなくAIにとっても店舗情報を十分に把握しにくくなります。

特に以下の項目は定期的に更新しましょう。

  • 営業時間・定休日
  • 料理・店内・外観の写真
  • 最新のメニュー
  • ハラール・ヴィーガン・グルテンフリーなどの対応内容
  • 店舗紹介文

また、Googleビジネスプロフィールの投稿機能を活用し、新メニューや季節限定メニューなどを発信することも有効です。

② ホームページを充実させる

Googleビジネスプロフィールだけでは伝えられる情報には限りがあります。店舗の公式ホームページには、旅行者が安心して来店できるよう、より詳しい情報を掲載しましょう。

  • 英語ページ(可能であれば多言語対応)
  • 写真付きメニュー
  • ハラール・ヴィーガン・グルテンフリーなどの対応内容
  • 予約方法
  • アクセス情報
  • よくある質問(FAQ)

情報が充実しているほど、旅行者だけでなくAIも店舗の特徴を理解しやすくなります。

③ 「対応しています」だけで終わらせない

「ヴィーガン対応」「ハラール対応」と書くだけでは、旅行者にもAIにも十分な情報とは言えません。

悪い例
× 注文時に言っていただければヴィーガン対応できます
× 予約があればハラール対応できます

良い例
〇 卵・乳製品・肉・魚・魚だし・ハチミツを使用しないヴィーガンメニューを提供しています。
〇 ハラール認証のある和牛を使用したメニューを提供しています。
〇 グルテンフリー麺を使用したメニューがあります。

具体的な対応内容が記載されているほど、旅行者は安心して来店を検討でき、AIも店舗の特徴を理解しやすくなります。

④ 信頼できる第三者メディアに掲載される

AIは店舗の公式情報だけでなく、ニュース記事や専門メディアなど、第三者が発信する情報も参照して回答を生成すると考えられています。そのため、第三者メディアで紹介されることは、店舗情報を補強する要素の一つになる可能性があります。

特に、ハラールやヴィーガン、グルテンフリーなど食の多様性に関する専門メディアは、旅行者が情報収集を行う際の参考情報の一つとなっています。Food Diversity.todayでも、対応店舗の特徴や提供メニュー、対応内容などを継続的に発信しています。こうした専門メディアで店舗が紹介されることは、旅行者に店舗を知ってもらうきっかけになるだけでなく、インターネット上で公開される店舗情報を充実させる一助になると考えられます。

まとめ

生成AIを使って飲食店を探す動きが広がる中、店舗にとって重要なのは、特別な「AI対策」を行うことではありません。

Googleビジネスプロフィール、公式ホームページ、SNS、第三者メディアなど、それぞれの媒体で正確な情報を継続的に発信し、内容に食い違いがない状態をつくることが基本となります。

特に、ハラール、ヴィーガン、グルテンフリーなどの対応店では、単に「対応可能」と伝えるだけではなく、使用している食材、対応できるメニュー、予約の要否、注意事項などを具体的に示すことが重要です。

AIに紹介されることを保証する方法はありません。しかし、旅行者が必要とする情報を分かりやすく公開し続けることは、AIに限らず、検索エンジンやSNS、各種メディアを通じた認知にもつながります。

これから求められるのは、「対応している店」になることだけではなく、その対応内容が旅行者にもAIにも正しく伝わる店になることです。