“対応”ではなく“表示”にすぎない

飲食店・宿泊施設様とフードダイバーシティ対応の話をさせて頂く中で、

「ピクトグラムを導入しています」
「ピクトグラムがあるので対応できています」

といった声を聞くことがあります。

ただ、ピクトグラムの導入だけでは十分な対応とは言えません。ピクトグラムはあくまで「対応を伝えるための表示の一つ」であり、それ自体が対応そのものを意味するわけではありません。

ピクトグラムの本質は?

ピクトグラムは、本来、料理に使用している原材料などを一目で理解できるようにするための補助的な情報伝達手段です。

しかし現場では、次のような誤解が多く見られます。

「ピクトグラムを表示した=フードダイバーシティに対応した」

本来のフードダイバーシティ対応とは、「何を使っているか」「どう調理しているか」「どこまで保証できるか」を整理し、その内容を説明できる状態を指します。

実際に現場で起きていることは?

スタッフがピクトグラムの意味を理解していない

まず、ピクトグラムが何を基準に付けられているのかが現場で共有されていません。一次原材料(メイン食材)を指しているのか、調味料や出汁を含む二次・三次原材料まで考慮しているのか、スタッフ自身が理解していないケースが多く見られます。その結果、「アレルギー対応」などの表記でも、実態と一致しない状態が発生します。

情報の更新が止まっている

原材料や仕入れが変更されているにもかかわらず、ピクトグラムや表示が過去のまま使われ続けているケースは珍しくありません。特にビュッフェのようにメニューや仕入れが流動的な業態では、このズレは日常的に発生します。しかし更新ルールがないため、修正されないまま運用され続けます。

引き継ぎがされていない

導入時に内容を把握していた料理長や担当者が異動・退職すると、その時点で情報が途切れます。引き継ぎがされていないため、「なぜこのピクトグラムが付いているのか」を説明できる人がいなくなります。その結果、現場は“理由が分からないまま表示だけが残る状態”になります。

調理内容や保証範囲が不明確

どのように調理されているのか、どこまで保証できるのかといった点が整理されていないケースも多く見られます。そのため、表示と実態の間にズレが生じ、対応の範囲が不明確な状態になります。

これらに共通しているのは、ピクトグラムが“情報”ではなく、よくわからない“記号”として扱われていることです。

そもそも、ピクトグラムは無料で使用可能

ここで冷静に考えるべき点があります。ピクトグラム自体は無料で入手可能です。昨今はAIですぐにお店オリジナルのピクトグラムを簡単に作ることができます。

参考:東京都「メニュー表示用ピクトグラム」

有料で提供しているサービスも存在しますが、「お金を払った=対応した」ではありません。

本来やるべきは基礎を固めた上で「設計」と「運用」を作ること

ピクトグラムを機能させるためには、順序が重要です。

①フードダイバーシティの基礎を学ぶ(最新の情報にアップデートも含め)
②何をどこまで対応するのかを決める
③原材料・調理工程を整理する
④現場のオペレーションに落とし込む
⑤ピクトグラムで情報を補助する

この順序を外すと、現場で機能しない取り組みになります。

結論

ピクトグラムは「対応」ではなく、「結果を伝える手段」にすぎません。

どれだけ表示を整えても、原材料・調理工程・運用が整理されていなければ、実態は伴いません。むしろ、表示と実態がズレている状態は、何もしていないよりも信頼を損なうリスクがあります。

フードダイバーシティに関する基礎知識に加えて、設計と運用が整って初めて、ピクトグラムは意味を持ちます。

お問い合わせ

フードダイバーシティ株式会社では、ピクトグラムの導入にとどまらず、原材料の整理といった基礎部分から、メニュー設計、現場での運用まで一貫してサポートを行っています。ご関心のある方は、お気軽にお問い合わせください。info@food-diversity.co.jp

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