提供する料理の価値を再定義
2025年8月13日、ニューヨークの名門レストラン Eleven Madison Park(EMP) が、完全植物由来メニューから一部動物性食材を再導入する旨を発表致しました。2021年のロックダウン解除後、同店は動物性食品を一切使わないフルヴィーガンメニューへと大胆にシフト。その革新的な挑戦は、気候変動対策への意識と、料理表現の新たな可能性を切り開くものでした。
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世界初、ヴィーガンでミシュラン三つ星
植物由来のバター不使用ミルフィーユ、卵不使用メレンゲ、アーモンドミルクリコッタチーズ、麹のだしなど、Eleven Madison Park(EMP)は独自の調理技術を生み出し続けてきました。その努力は2022年、完全植物由来のメニューで世界初のミシュラン三つ星獲得という快挙につながります。
シェフのダニエル・フム氏は、この成果を「まるで水の上を歩いているようだった」と振り返ります。しかし同時に、全てのお客様を受け入れるというホスピタリティの理念から、思わぬ課題も見えてきたという。完全ヴィーガンという「全か無か」の姿勢が、一部の人々を食卓から遠ざけてしまったと語ります。

変化の理由
ダニエル・フム氏はこう語ります。
「植物由来の料理を真に推進するためには、誰もが歓迎されていると感じられる環境を作る必要があることを学びました。」
20周年を迎える節目に、Eleven Madison Park(EMP)は再び変化を選択。2025年10月14日からは、選択肢を重視した新しいメニュー構成に移行する予定。ヴィーガン・プラントベースの料理は引き続き提供しながら、厳選された魚や肉、そして象徴的な一皿である「 Honey-lavender-glazed duck(ハニーラベンダーグレーズドダック)」も復活させる。
「変わらぬために、変わり続ける」
Eleven Madison Park(EMP)の歩みは、常に変化と挑戦の連続。完全ヴィーガンへの転換も、一部動物性食材の再導入も、その根底には「より多くの人と食卓を囲みたい」という思いがあるとのこと。今回の決断は、単なるメニューの変更ではなく、料理を通して人々をつなぐという使命の再確認となります。
この変化がガストロノミーとヴィーガン・プラントベースの未来にどのような影響を与えるのか、世界中の食の関係者が注目している。