MICEを乗り切るだけで終わるか、日常を変える機会にするか
国際会議や展示会、スポーツ大会などのMICEでは、ヴィーガン、ベジタリアン、ハラール、グルテンフリー、食物アレルギーなど、さまざまな食事対応が求められます。
しかし、多くの企業では、開催直前になってから参加者の食事条件を確認し、対応可能なメニューや食材を探し始めます。目の前のMICEを無事に乗り越えることが目的となり、終了後には取り組みも終わってしまう。これでは、何度MICEを経験しても、同じところで慌てることになります。
大切なのは、MICEの対応を通じて、「普段からこのようにやっておけば、次は慌てなくていい」ことをいくつ見つけられるかです。
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なぜMICEのたびに慌てるのか
MICEで食事対応が必要になった際、現場では次のような問題が起こります。
- 使用している食材や調味料の原材料が分からない
- 商品規格書がすぐに確認できない
- 店舗として対応できる範囲が決まっていない
- ヴィーガンとベジタリアンの違いを説明できない
- ハラール対応で、どこまで配慮すべきか判断できない
- 調理器具や揚げ油の共用状況が整理されていない
- 外国語で正確に説明できる資料がない
- 対応方法を知っている担当者が限られている
- 対応可能な飲食店や弁当事業者の情報が共有されていない
これらは、MICEの開催によって突然発生した問題ではありません。
普段から確認、整理、共有していなかった課題が、MICEによって一気に表面化しただけです。
MICEを「弱点を発見する機会」に変える
MICEへの対応で見つかった問題は、開催期間だけのものとして処理するのではなく、通常業務の改善につなげる必要があります。
例えば、
- 使用している調味料の原材料が分からず対応に時間がかかったのであれば、商品規格書を日頃から確認できる状態にしておく。
- ヴィーガンやハラールの判断が特定の料理人に集中したのであれば、対応基準を文書化し、他のスタッフにも共有する。
- 外国語での説明に苦労したのであれば、主要なメニューについて、使用食材や対応範囲を多言語で整理しておく。
- 飲食店探しに時間がかかったのであれば、地域内の対応店舗について、提供条件、予約期限、対応可能人数まで把握しておく。
こうした改善を一つずつ積み重ねれば、次のMICEではゼロから対応する必要がなくなります。
特別対応を通常業務に落とし込む
MICEのために用意した食材やメニューを、その日限りで終わらせる必要はありません。
安定して仕入れられ、厨房に大きな負担をかけずに調理できるのであれば、通常メニューや予約メニューとして継続できます。
- 参加者から多かった質問は、公式サイトや店頭表示に反映できます。
- 現場で判断に迷った内容は、社内の対応マニュアルや確認シートに追加できます。
- 一度整えた外国語表記は、個人旅行者や次の団体旅行でも活用できます。
MICEで発生した作業を「特別対応」で終わらせず、日常の仕組みに変えることが重要です。
同じ問題を繰り返さないことが成果
MICEの成果は、開催期間中に何食提供したか、事故なく終了できたかだけでは判断できません。
終了後には、次の点を確認する必要があります。
- 今後も提供できるメニューが残ったか
- 継続的に使用できる食材が見つかったか
- 原材料情報を確認できる仕組みが整ったか
- 店舗としての対応方針が明確になったか
- スタッフ間で知識を共有できたか
- 外国語で案内できる情報が増えたか
- 地域内の事業者との連携ができたか
- 次回の対応時間を短縮できる状態になったか
これらが一つも残らなければ、MICEを一夜漬けで乗り越えただけです。
反対に、MICEを通じて日常業務のを見直し、次回は慌てずに対応できる状態をつくれたのであれば、その取り組みは企業や地域の資産になります。
問うべきは「何事もなく終わったか」ではない
MICE対応では、「問題なく終了した」という報告で完結しがちです。しかし、本当に問うべきなのは、その過程で何を学び、何を改善したかです。
「普段からこのようにやっておけば、MICEで慌てなくていい」
そう言える改善点をいくつ見つけ、通常業務に反映できたか。その数が、企業や地域に残った本当の成果です。
MICEをその場限りの特別対応として乗り越えるのか。
それとも、自社の弱点を発見し、未来に向けた体制を整える機会にするのか。
MICEが終わった後に同じ問題を繰り返さないことこそ、受入体制が整った証拠です。