地域で進めるフードダイバーシティ
2026年7月7日(火)、長崎市役所にて、長崎市、長崎県、DMOなどの職員を対象とした「地域全体で食の多様性に対応するために」と題したセミナーが開催され、フードダイバーシティ株式会社の守護が講師を務めました。
今回のセミナーでは、ベジタリアン、ヴィーガン、ハラール、グルテンフリーなど、多様な食習慣に関する基礎知識に加え、自治体・行政が地域の事業者とどのように連携し、地域全体で受入環境を整備していくべきかについて、守護が全国各地で支援してきた事例を交えながら解説しました。
セミナーには、観光やインバウンド施策、地域事業者の支援などに携わる職員が参加。守護からは、地域でフードダイバーシティを推進する際の行政の役割や、事業者を実際の行動につなげるための支援方法、AI検索の普及を見据えた情報発信のあり方などについて説明しました。
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「点」の取り組みではなく、地域全体で「面」をつくる
まず守護からは、地域でフードダイバーシティを推進するうえで、一部の飲食店や宿泊施設だけが対応する「点」の取り組みでは十分ではなく、地域全体で受入環境を整備していくことが重要だと説明しました。
旅行者は滞在中、飲食店だけでなく、宿泊施設や観光施設、商業施設など、地域内のさまざまな場所を利用します。そのため、個別の事業者を支援するだけでなく、地域内に対応できる事業者を増やし、それぞれの取り組みをつなげることで、地域全体で旅行者を受け入れる「面」をつくる必要があると伝えました。
特に長崎はハラール対応が急務
また、マレーシア航空のクアラルンプール―福岡線の就航により、今後、福岡空港を玄関口として九州を訪れるムスリム旅行者の増加が期待されることから、地域全体の「面」としてハラール対応を早急に進める必要があると補足しました。
共通点を整理すれば、フードダイバーシティ対応は難しくない
続いて守護からは、ベジタリアン、ヴィーガン、ハラール、グルテンフリー、アレルギーなどを、それぞれ別々の対応として考えると、事業者にとって難しく感じられ、取り組みへのハードルが高くなってしまうと説明しました。
一方で、使用できる食材や調味料、避けるべき原材料、調理工程、情報表示などを整理すると、それぞれの対応には多くの共通点があります。こうした共通点を理解し、食材や調味料、メニュー開発、厨房オペレーションなどを可能な限り共通化することで、現場の負担を抑えながら複数の食習慣に対応することができます。
行政やDMOが事業者にフードダイバーシティへの対応を促す際には、最初から難しい知識や完璧な対応を求めるのではなく、「共通点を整理すれば、決して難しい取り組みではない」「今あるメニューやオペレーションを活用しながら、できることから始められる」と伝えることが重要だと説明しました。

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AI検索時代では、書いていないサービスは「存在しない」のと同じ
最後に、AIを活用して旅行先や飲食店を探す旅行者が急速に増えていることを踏まえ、これからの情報発信の重要性についても説明しました。
旅行者がAI検索で「長崎市でハラール対応の長崎グルメを食べられる店は?」「ヴィーガン対応が可能なホテルは?」と質問した際、AIが適切な店舗や施設を選択肢として提示するためには、ウェブ上に具体的で信頼できる情報が存在していることが重要となります。
守護からは実際には「言われればできる」「事前予約があれば対応できる」といったメニューがあったとしても、その情報がウェブ上に掲載されていなければ、AI検索で旅行者の選択肢として提示されにくくなる可能性があると説明しました。
AI検索が急速に普及する時代においては「対応していることをウェブ上に明確に書く」「具体的な情報を継続的に発信する」「旅行者やAIがその情報を見つけられる状態をつくる」ところまでを、これからの地域の受入環境整備として考える必要があると伝えました。
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地域に寄り添い、事業者の行動につながる支援を
今回のセミナーでは、フードダイバーシティへの対応を一部の事業者による「点」の取り組みで終わらせず、地域全体の「面」へと広げていくことの重要性をお伝えしました。
地域によって、訪れる旅行者のニーズや観光資源、事業者が抱える課題は異なります。そのため、全国一律の方法を当てはめるのではなく、それぞれの地域の状況を理解し、行政やDMO、地域の事業者と一緒に取り組みを進めていくことが重要です。
フードダイバーシティ株式会社では、セミナーを開催して知識を伝えるだけで終わらせるのではなく、事業者が「知っている」状態から「実際に行動できる」状態へと進み、その取り組みを継続できる仕組みづくりを重視しています。
今後も地域に寄り添いながら、行政やDMO、地域の事業者と連携し、それぞれの地域に合ったフードダイバーシティの推進と、多様な旅行者が安心して地域の食を楽しめる受入環境づくりを支援してまいります。