圧倒的な料理として選ばれるヴィーガンレストラン
ロンドンにあるヴィーガンレストラン「Plates London」を訪問しました。同店は、イギリス初のミシュラン星付きヴィーガンレストランとして大きな注目を集めています。
現在、完全ヴィーガンでミシュランの星を獲得しているレストランは世界的にも非常に少なく、ロンドンの「Plates London」やスイス・チューリッヒの「KLE」など、ごく限られた存在です(2026年4月現在)。
※ミシュランの評価や掲載状況は毎年変動するため、最新年度によって変わる可能性があります。
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店内は派手さを前面に出すというより、自然素材を感じさせる落ち着いた空間。純粋に“ハイレベルなガストロノミー”として成立しているのが印象的でした。
今回いただいたメニューは以下の通りです。
※イメージを損なわないため、英語表記のまま
- House laminated sourdough bread, whipped cultured butter & wild garlic
- Barbecued maitake mushroom, black bean mole, kimchi, aioli & puffed rice
- Slow cooked purple carrots, braised kombu, sansho pepper, passion fruit & pear, frozen tarragon
- Cornish potatoes, seaweed, sweet & sour apricot
- Barbecued lemon ice cream, frozen tomato & chamomile
- White onion, plum & liquorice
- Caramelised lion’s mane, barbecued aubergine, salsa verde, romesco sauce, Tokyo turnip & castelfranco
- Yorkshire rhubarb sorbet, pickled jalapeño, kaffir lime
- Flavours of banoffee pie
全体を通して印象的だったのは、食材を「代替」という枠に当てはめるのではなく、火入れや発酵、酸味、香り、食感といった要素を丁寧かつ複雑に積み重ねながら、一皿一皿を高い完成度の料理として成立させていた点です。単に肉を置き換えるのではなく、素材そのものの特性を引き出し、組み合わせによって新たな価値を生み出している——その姿勢が随所に感じられました。
中でも「Barbecued maitake mushroom」は、同店を象徴する一皿のひとつです。香ばしく焼き上げた舞茸に、黒豆モレの深み、キムチ由来の発酵による複雑な旨味と酸味が重なり、味わいに確かな奥行きを感じました。さらに、食感のコントラストや香りの立ち方まで丁寧に設計されており、一口ごとに印象が変化していく構成でした。ヴィーガンという枠を超え、「一皿の完成された料理」として強い説得力を持っていると感じました。




全体として店内には「美味しいレストランだから訪れる」という空気感が自然と出来上がっているように感じました。実際、来店客の多くはヴィーガンではないと報じられており、その事実からも、特定の食スタイルに閉じない魅力を持っていることがうかがえます。
料理としての完成度がまず前提にあり、その結果として“ヴィーガンである”という要素が自然と成立している——その順序がしっかり保たれているように感じました。
また、シェフのKirk Haworth氏についても、伝統的な技術から最新の技法までを確かな基盤としつつ、独創的な発想を植物性の料理へと落とし込んでいる点が評価されており、単なるトレンドにとどまらない取り組みであることがうかがえます。実際に料理を体験する中でも、その積み重ねが一皿一皿に表れているように感じられ、「選ばれる理由としての美味しさ」が自然と成立している点が、この店の特徴の一つだと強く感じました。
ロンドンを訪れる機会がある方や、食の多様性の最前線に関心のある方にとって、実際に体験してみる価値のあるレストランだと思います。
参考: