二重価格問題はノウハウで解決

昨今、飲食店経営においては、日本人の常連様を大切にすることと、単価の高い海外からのインバウンド需要を取り込むことの両立が求められています。

海外からの旅行客の単価が相対的に高くなる状況下で、二重価格を導入したり、店舗全体の価格を引き上げたりする判断を行うお店も徐々に増えています。しかし、それを実行すると、旅行客からは「信頼できないお店」と受け取られ、日本人からは「インバウンド向けに特化したお店」と思われる可能性があります。

こうした課題は、次のような方法で解決できます。

解決策は二つ

  1. 英語メニューに「Our Specialties」を表記
    「Our Specialties=当店自慢の一品」であることを明確に示すことで、旅行者の多くが考える「店を代表するメニューが食べたい」というニーズに応えることができます。

  2. 「Our Specialties」のメニューは左上に配置
    一般的な日本語メニューでは、左上から価格が安い順に並べられるケースが多いですが、英語メニューは左上に「Our Specialties」を配置することが有効です。代表メニューを左上に置くことで、旅行客が自然に選びやすくなり、店舗側も無理なく単価の高いメニューを提供できます。

お店の信頼性を守る戦略

飲食店経営において最も重要なのは、長期的なお客様との信頼関係を築くことです。安易な価格調整では、一時的な売上向上にはつながっても、長期的な信頼やリピートには結びつきにくい場合があります。

最終的には、「誰に何をどのように提供するか」を明確に定めることが、収益性と顧客満足度を両立させる最短の道です。メニューの表示方法や見せ方の工夫は、その実現のための有効な手段の一つであり、旅行客や常連客それぞれに適切に価値を伝えることで、長期的な店舗の成長につながります。