「あなたのことを理解しています」が価値になる

おいしい料理を提供し、丁寧に接客しても、Googleなどのレビューで満点の「5点」をもらえるとは限りません。お客様に高く評価してもらうには、どのような体験を届ければよいのでしょうか。

そのヒントの一つが、ヴィーガンやハラール、グルテンフリーなど、食の多様性への対応です。もちろん、対応すれば必ず点数が上がるわけではありませんが、お客様の食事の条件を理解することは、料理のおいしさに加えて評価される理由になります。

日本人から「5点」をもらうのは難しい?

「日本人のお客様から5点をもらうのは難しい」と感じる飲食店もあるかもしれません。評価のつけ方には、文化的な違いを示す研究があります。

日本料理店のYelpの口コミを比較した研究では、欧米の利用者は日本の利用者よりも、高い点数と低い点数の両方をつけやすい傾向が確認されました。日本の利用者は、それに比べて中間の評価を選びやすかったということです。飲食店として考えたいのは、国籍だけで評価を予測することではなく、そのお客様にとって、何が高く評価したくなる体験なのかという点です。

「食べられる料理がある」に、理解と接客を加える

ベジタリアン対応店の口コミを分析した研究では、親しみやすいスタッフについての言及が、高い評価と関連していました。研究では、スタッフが食習慣の違いを理解し、敬意を持って対応することの重要性も指摘されています。

この知見を店舗の実務に置き換えると、対応メニューを用意することに加えて、次のような接客が考えられます。

  • 使用している食材や調味料を説明する。
  • 対応できる範囲と、対応が難しい範囲を明確に伝える。
  • わからないことは確認してから答える。
  • 食事の条件を満たしながら、料理としてのおいしさを追求する。

例えば、料理について質問されたときに、スタッフが内容を確認し、選べるメニューを具体的に案内する。こうした対応によって、「自分の食事の条件を理解してくれた」と感じてもらえる接客を目指せます。

対応を表示するだけでは、高評価は得られない

一方で、「ヴィーガン対応」「ハラール対応」と掲げるだけで、Googleなどのレビューの点数が上がるとはいえません。

前述のベジタリアン対応店の研究では、サービスの悪さや、料理、価格に見合う価値に関する課題も、低い評価と関連していました。食の多様性への対応も、料理や接客を含む食事体験全体の中で考える必要があります。

そのため、店舗には、表示する対応内容と実際の提供体制を一致させることを提案します。原材料や調理方法について正確に説明し、できないことも伝える。そのうえで、おいしい料理を提供することが基本になります。

点数とともに、「評価された理由」を読む

取り組みの成果を確かめるには、平均点だけでなく、Googleなどのレビューに何が書かれているかにも目を向けたいところです。

確認したいのは、料理のおいしさに加えて、食材の説明、スタッフの対応、メニューの選びやすさなどが、どのように評価されているかです。対応開始前後の口コミを読み比べることは、店舗で何が評価され、どこに改善が必要なのかを考える材料になります。ただし、平均点の変化だけで、対応の効果を断定することはできません。

今回確認した研究からは、フードダイバーシティへの対応によって、日本の飲食店のGoogleのレビューが何点上がるかは確認できません。また、ベジタリアン対応店の研究結果を、ハラールやグルテンフリーにそのまま当てはめることもできません。

それでも、食事の条件への理解と、丁寧な接客を組み合わせることは、高評価につながる体験をつくるうえで参考になる視点です。

フードダイバーシティへの対応を、お客様がその店を高く評価する理由を増やす機会として捉えてみてはいかがでしょうか。