仕事の内容と、役割の違いを理解する
地方自治体が食の多様性に対応する飲食店を増やすために「レシピが必要だろう」と考えて、料理研究家を伴走支援につけるケースがあります。しかし、フードダイバーシティ株式会社はうまくいかないと考えています。
理由はレシピの提案を中心とする支援と、料理人が必要としている支援には、ずれがあるからです。
料理人が知りたいのは、そもそもレシピよりかは
- お客様がどのような料理を求めているのか
- どのような味を好むのか
- 何に価値を感じ、対価を払うのか
- 具体的にどの食材や調味料が使えないのか
- 必要な食材や調味料を安定して仕入れられるのか、価格はどうなのか
その条件を踏まえ、自分の技術を使い、自店の厨房で無理なく提供でき、利益を残せる商品に仕上げる。それが料理人の仕事です。
伴走支援に必要なのは、料理人にレシピを渡すことではなく、料理人が商品をつくるために不足している情報や調達手段を補うことです。 この役割を取り違えたまま、販売につながらない理由を店舗の意欲や努力だけに求めるべきではありません。

料理人の顧客は「食べたい人」と料理研究家の顧客は「つくりたい人」
ここでは、飲食店で料理を提供する料理人と、家庭向けのレシピ制作や料理教室を担う料理研究家を、次のように整理します。
| 料理人 | 料理研究家 | |
|---|---|---|
| 顧客 | 料理を食べたい人 | 料理をつくりたい人 |
| 仕事 | お客様の要望を把握し、限られた時間で料理を提供する | レシピを考案し、家庭でも再現できるようにつくり方を伝える |
| 野球に例えると | プロ野球選手:プレーを見たい人に、プレーで応える | 野球教室の講師:プレーしたい人に、方法を教える |
アマチュアに教える力と、プロを支援する力は違う
アマチュアに野球を教えられるからといって、プロ野球選手を指導できるわけではありません。プロの課題を理解し、解決できる専門性が必要です。
料理も同じです。家庭向けのレシピを教える力だけでは、プロの料理人への伴走支援には足りません。
料理人が困っているのは、必ずしもつくり方ではありません。お客様のニーズや使えない食材、仕入れ先などの情報が不足しているのかもしれません。その課題を確かめず、レシピを渡しても、必要な支援にはなりません。さらに商品化には、仕込みの負担、提供時間、品質の安定、採算まで検討が必要です。
ゴールを共有し、料理人が求める情報で料理人を支える
フードダイバーシティ株式会社は、この役割の違いを踏まえて伴走支援を行ってきました。料理人の技術を尊重し、どのようなお客様に、どのような商品を届けたいのかというゴールを共有する。その上で、自ら現場に足を運んで集めてきた、お客様のニーズや食習慣、対応条件、食材の調達に関する情報を伝えることに徹してきました。
その情報をどう料理に生かすかは、料理人の専門性が発揮されるところです。私たちは、不足する情報や調達手段を補い、料理人が自店で提供できる商品を生み出すための条件を整えます。