御社の商品、どこに売ろうとしていますか

ヴィーガン対応の商品開発に取り組む企業は、ここ数年で大きく増えています。

一方で、フードダイバーシティ株式会社には「ヴィーガン商品を開発したが、売れない」という相談も継続的に寄せられています。その際、弊社から必ずお伺いするのが、次の問いです。

「ヴィーガンマーケット“に”売ろうとしていますか?」

それとも

「ヴィーガンマーケット“にも”売ろうとしていますか?」

一見すると些細な違いに見えますが、この設計の差が、そのまま売上の伸び方を左右します。本記事では、こちらについて解説します。

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展示会やイベントに出た瞬間に“色”が付く

ヴィーガン関係の展示会やイベントに出展する。
認知を広げるための一般的な施策に見えますが、こうした場に商品が並んだ瞬間、市場からは次のような明確なポジショニングが付与されます。

「ヴィーガンのお客様向けの専用商品」

このラベルは、ヴィーガン商品を欲するターゲットには届きやすくなります。一方で、それ以外の市場からは距離を置かれる要因にもなります。つまり、届く人は増えるが、届かなくなる人も同時に増えるということです。

引き合いはあるのに商品があまり動かない

また、よく見られるのが、引き合いがあり飲食店に納品できたにもかかわらず、その後の取引が継続しないケースです。

理由は非常に現実的で「ヴィーガンメニューにしか使われないため」です。

飲食店の業種・業態・運営方法にもよりますが、「ヴィーガンメニュー専用の食材・調味料」として仕入れた商品は、回転しにくい傾向があります。

その結果、

・初回は導入される
・しかし在庫が減らない
・追加発注が止まる
・最終的に賞味期限を迎え、メニューの見直しにつながる

という流れになることが一般的です。

最短距離を選んだつもりが、小さい市場での商売になる

ヴィーガン向けと明確に打ち出せば、短期的には反応が得られる可能性があります。

しかし同時に、「ヴィーガン向けの商品」という色が付くことで、それ以外の市場からは距離を置かれる可能性も高くなります。本来であれば使えるはずの飲食店や売り場に対して、自ら間口を狭めてしまうケースも少なくありません。

最短距離で売ろうとした結果、気づけば最も小さい市場の中で戦う構造になってしまいます。

豆腐がなぜ売れ続けるのか

ここで一つの分かりやすい事例があります。

豆腐です。

豆腐は結果としてヴィーガン対応の商品ですが、当然ながらヴィーガン市場だけを狙って売られてきた商品ではありません。

・日常的に食べられる
・幅広い料理に使えるレシピがある
・誰でも食べる

この設計だからこそ、

ヴィーガンマーケットでも、それ以外でも売れ続け、結果としてロングセラーになっています。

まとめ

ヴィーガン市場自体は今後も拡大していく可能性があります。しかし、その市場“だけ”を狙えば、売上の上限は自ら決めてしまうことになります。

短期的には、ターゲットを絞ることで反応を取りやすく、一定の成果が見える場面もあるでしょう。ですがその一方で、「ヴィーガン向け」という明確なポジショニングは、同時にそれ以外の市場との接点を弱める側面も持っています。結果として、本来であれば使われる可能性があった飲食店や売り場に届かず、機会損失を生んでしまうケースも少なくありません。

重要なのは、一見遠回りに見えたとしても、ヴィーガンマーケット“にも”売れる商品として設計することです。つまり、特定の層に閉じた商品ではなく、一般市場の中で自然に使われ、評価され、その延長線上でヴィーガンにも対応できる状態をつくるという発想です。

そのためには、商品設計だけでなく、ブランディングや営業の在り方も含めて一貫して考える必要があります。どのようなシーンで使われるのか、誰が日常的に手に取るのか、既存のオペレーションに無理なく組み込めるのか。こうした視点を持たずに「対応」を進めても、継続的な売上にはつながりません。