英語マップで参道へご案内 川崎大師(川崎市)
おもてなし 魅せどころ
川崎大師(川崎市)周辺エリアは全国有数の初詣客を集めるが、インバウンド(訪日外国人)を積極的に呼び込もうという動きはあまりなかった。そんな状況を変えようと、観光コンサルティングなどを手掛ける訪日インバウンド対応総合研究所(川崎市)が2018年12月に川崎大師エリアの英語観光ガイドマップを初めて制作。羽田空港との近さも生かし、訪日客に川崎の魅力を訴えている。

ガイドマップは京急大師線・川崎大師駅から川崎大師へと続く表参道と仲見世通りにある、飲食店やみやげ店など20店余りを紹介。イスラム教徒でも食べられるよう豚肉を使わないポークフリーメニューや、厳格な菜食主義者向けのヴィーガン、グルテンフリーなどのメニューを提供する飲食店も載せた。
もちろん、川崎大師の観光案内やイベントスケジュールのほか、名物のだるまの解説なども掲載。「羽田空港から22分」「段差がなく車椅子でも観光しやすい街」とアピールする。
訪日インバウンド対応総合研究所の堀田美希・代表社員は川崎大師近くの保育園に娘を通わせていたことから、このエリアに毎日足を運び、思い入れもあった。「正月はものすごい人出でごった返す一方、商店街では後継者難で閉める店も相次いでいる。活性化のためにインバウンド客を集めるのに役立てればと考えた」という。

ガイドマップはまず1万部を印刷。川崎大師駅前やJR川崎駅構内の観光案内所、ホテルなどで無料配布している。川崎駅近くのホテルに滞在していた米国人、ジャック・ストーンさん(45)は「羽田空港や東京都心から近くて便利だし、その割にホテル代が安いので宿を選んだが、川崎大師は知らなかった。ガイドマップがあれば、近くだしちょっと行ってみようかなと思う」と話す。
これまで訪日客はそれほど多くなかった川崎大師エリアだが、実は年に一度だけ、外国人が大挙して押し寄せる日がある。4月の第1日曜日、若宮八幡宮境内の金山神社で催される「かなまら祭」だ。
かなまら祭は男性器をかたどったご神体が街を練り歩く奇祭。インターネットを通じて海外で有名になり、近年は日本人よりも欧米人観光客のほうが多いほどだ。堀田さんは「かなまら祭に合わせて、3月にガイドマップをさらに2万部印刷する」という。
(川崎支局長 宮田佳幸)
[日経MJ 観光・インバウンド面 2019年3月11日付]