ビーガン定食でおもてなし 道の駅・多古に新メニュー 訪日客にPR

2020年8月11日 07時15分

ビーガン定食を試食する未来リナさん=いずれも多古町で

 近年、注目される厳格な菜食主義者「ビーガン」に対応した定食メニューが、多古町の道の駅多古あじさい館のレストラン「キッチンTAKO」にお目見えした。東京五輪・パラリンピックに向けた食環境の整備の一環。館内の「ふれあい市場」では、主に県内産食材を用いたビーガン商品の陳列棚も拡充された。(小沢伸介)
 「高野豆腐の南蛮漬け定食」で、主菜は高野豆腐を揚げてコクを出し、甘酸っぱく仕上げた。副菜はナムルと漬物。主食は多古米。みそ汁は植物性食品を組み合わせてうま味を引き出した。税込み六百五十円。
 メニューを手掛けた川口明美さんは「自信作だが、誰でもいつでも食べてほしいので、ほかの定食類と同じ扱いで目立たないようにしている。ビーガンとそうでない人が一緒に食事できる環境を長く提供し続けられれば」と話す。
 ビーガンのモデルでライフスタイルクリエーターとして活動する未来リナさんは現地で試食し、「全体的に彩りが良く栄養バランスも優れている。高野豆腐は食べ応えがあり、個人的に好きな味。みんなに食べてもらいたい」と勧めた。
 ふれあい市場の陳列棚には、南房総市のトマトジュースや八街市のピーナツバター、富里市のシーズニングスパイス、館山市の食用バラのハーブティーなどのビーガン商品が並ぶ。
 券売機のメニューや棚の看板にあるブロッコリーのようなマークは、成田空港活用協議会が二〇一九年度に始めた「訪日客等への『おもてなし』食プロジェクト」の一環で開発した「ベジアイコン」だ。
 ビーガンとベジタリアンの二種類で、日本語が読めない人でも一目で分かるようにする狙い。食のコンサルタント「みんなのごはん」(東京都新宿区)が、英国の基準に沿って独自の利用基準を設けている。
 同社のプロジェクト担当で元県職員の青木央恵さんは「千葉は農業王国でビーガンとの親和性が高い。成田空港からの訪日客を県内で県産品でもてなすことは、農家や事業者の応援になり、国内からの誘客にもつながる」と期待する。
 食品スーパー「フレッシュマートおおくぼ」(成田市吉岡)も含め、今後県内で十カ所を目標に対応店舗を増やしていくという。
<ビーガン> ベジタリアン(菜食主義者)の中でも、動物性タンパク質を一切摂取しない厳格な菜食主義者。宗教、動物愛護、環境保護、美容、健康、アレルギーなどさまざまな事情から、卵や乳製品、蜂蜜も口にしない。観光庁によると、欧米を中心に年々増加しており、2018年に来日したベジタリアンやビーガンの外国人観光客は145万〜190万人で、国内での飲食費は450億〜600億円と推計される。

ベジアイコンの看板を掲げたビーガン商品の陳列棚

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